法事後、施主さんのご好意で参列した皆さんと一緒に食事をする機会がある。先日も、一周忌法要後皆さんと共に食事を頂いた。通常、我々僧侶は上座の席に案内され、次に親族の重鎮である方達が私の回りに案内されるケースが多い。最近は、法事そのものが縮小されているので家族のみという事も多くなった。その場合は、施主さんが私の側に座られる事になる。
法事の後席(食事)は、ただ食事や歓談をするだけでは無く、故人にまつわる話しが沢山出てくるものである。故人を思い出し、皆さんで故人の話しをする事は、故人の魂が家族、親族の間で生き続けている証であると思う。たまに「法事は何回忌まですればいいのですか?」と尋ねられる事がある。このような質問をする事は、既にこの方の中には、故人の魂が生き続けておらず故人の魂も彷徨える魂になってしまっているのでしよう。法事に於いて、供養と共に故人を偲ぶ事が、皆さんが故人の魂を確認する意味もあるのではないかと思います。その姿を法事に参列した皆さんが現世(この世)で経験する事によって、自分の死後、家族、親族に供養され、偲んでもらう事で「現世安穏 後生善処(げんせあんのん ごしょうぜんしょ)」を確認する事だと思います。
また、後席に於いて日頃疑問に思われている事の質問をされます。これは、食事の席という事もあり、緊張感が薄れている事もあるでしよう。私は、とても大事な布教の場と捉えています。何故ならば、質問内容が本音の部分が多いからです。素直に質問され、私の答えも素直に聴いて貰える。そんな環境が、この後席には存在します。
今回の後席では、施主さんのお孫さんと仏教の教えについてお話する事が出来ました。この事は、次世代に教えを繋いで行く大事な機会でもあります。これからは、私の回りに重鎮の皆様だけでは無く、若い方達に回りに座って貰いたいと考えます。