10年ほど前から、修復が必要だと思いつつ現実から目を背けていた感があった。(というのも、この頃から盆と正月の年二回のみ開門)しかし、今年の正月に門を開く際、門扉を開ける事が困難な状態まで柱の腐食が進行したのだった。さすがにこれでは門扉を開ける事が不可能な状態が近々には来ると予測できた。山門修復を考えるにも、まずは修復費用をどうするか? これが最も頭が痛い。考えていてもラチが開かないので、寺社建築業者へ見積もりを依頼。新しく立て替えれば一千万円。立て替え修復600万円。理解は出来るが・・・高い。
私の考えは、新しく山門を立て替えたところで本堂を含む寺観とマッチするのか?(山門だけが立派すぎる)。現在の山門の修理を依頼しているのに立て替えを進める事に違和感を感じた。それも、業者の考え方の根底に檀家さんからの寄付で修復費用を賄うという考えがあるからだ。相手もプロなので、寺側と檀家側の折衝に立会いも数多く経験しているからであろう。
という流れから、日ごろから当山の修理をお願いしている工務店に相談したところ、快く私の想いを汲んで頂いて修復計画を立ててくれた。費用もかなり抑えてくれ、修復でありながらも以前の山門から立派な山門に生まれ変わった。
この修復は、元総代藤岡博さん、奥様藤岡益子さんお二人から、和歌山にある藤岡家の墓を当山に改葬し永代供養として山門修復をお願いした。以前から、山門修復を気にかけてくださっていた事から私の申し出を快く承諾して頂き、藤岡家先祖代々之霊永代供養として山門修復費用全てをお布施して頂いた。
巷で溢れる永代供養ではなく、これが本来の永代供養であると思う。